学校法人 南山学園 南山高等学校・中学校女子部Nanzan Girls’ Junior & Senior High School

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朝のこころ(2023年12月21日)

2023.12.21News

赤尾校長先生による終業式の講話です。

2学期の終業式を迎えました。そして2023年ももうすぐ終わりです。皆さんお疲れさまでした。2学期には、学年ごとの行事などもたくさんありましたし、また特に学校祭(前夜祭、文化祭、体育祭)という全校の行事があり、長い準備や当日の開催も大変な時期だったかもしれません。生徒会や部活動などの活動もあって、そんな中でも先週の期末考査まで、4か月近く皆さんよく頑張りました。ですから冬休みの間はしっかり休んで、クリスマスやお正月もありますので、家族とゆっくり過ごしてください。高校3年生は休みどころではないかもしれませんので体に気をつけて頑張ってほしいですが、家族と一緒に食事をして団らんをする機会くらいは楽しんでください。

クリスマスと言えば、エントラスやらせん階段の下に飾られたイエス誕生の場面を模した人形たちを、毎日目にしているでしょう。あの馬小屋の飾りは、イタリア語ではpresepio(プレゼピオ)・英語ではmangerとかcribといいますが、このプレゼピオを初めて飾ってクリスマスを祝ったのは、13世紀のイタリアのアシジ出身のフランシスコという人です。アシジのフランシスコは「南山生の祈り」の中の「平和を求める祈り」のページにも名前がのっている有名人で、今のローマ教皇の名前も彼から取られています。アシジのフランシスコは今からちょうど800年前、1223年のクリスマスにグレッチオという村の岩山の洞窟を使って、本物の牛やロバと等身大の赤ん坊の人形を飾ってイエス誕生の場面を再現したのですが、それが現在も続いているクリスマスの馬小屋の飾りつけの発祥です。

フランシスコは一般的にも最も有名な聖人の一人ですが、シンプルな生き方をしたことでよく知られています。若い頃には快楽を求めて贅沢で奔放な生活を送り、騎士になりたいと望んで戦場に赴いたりもしましたが、大病を患ってその夢も断念してからは、それまで魅力的だったものが色あせてしまって、享楽的で派手なくらしも楽しめなくなっていました。代わりに彼が喜びを見出すようになったのは、ありのままの自然やいのちでした。シンプルで質素な生活を新しい仲間たちと送るようになり、以前は近づくことさえ恐れていたハンセン病の人との出会いに喜びを見出したり、自然界のあらゆるものに素晴らしさを見出したりするようになりました。その生き方は、ちょうど彼が始めたプレゼピオの情景と同じです。馬小屋は吹きさらしで、エアコンも温かい羽毛布団もなくて、生まれたばかりのイエスは家畜の餌を入れる飼い葉桶に寝かされているけれども、それをのぞき込んでいるマリアとヨセフも、やってきた羊飼いたちや東の国の博士たちも、みんな喜びの表情を浮かべています。何もなくても、共にいられるだけで喜びがあります。

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(写真:アッシジ・聖フランチェスコ修道院にて 女子部イタリア研修旅行)

皆さんはこの2学期にたくさん思い出をつくってきました。多くのことを成功させることができて楽しいこともできた。けれどもそれがいい思い出になったのは、ただ単に手に入れたもの、成し遂げたことが大きかったからではないでしょう。楽しい思いを抱かせてくれた人、喜びを分かち合ってくれた仲間や家族がいて、苦しいつらいこともあったかもしれませんが、それを乗り越えられて今ここに自分がいるのも、やはりそのつらさを共にしてくれる人がいたからです。私も校長になって何もたいしたことはできていないですが、皆さん一人ひとりがここにいてくれて、支え合って学校生活を送ってくださっているから、先生方の助けをいただいているから何とか務めることができていると、本当に心からありがたく思うことばかりです。

皆さんも2学期を振り返って、感謝したいこと、その相手の顔を思い浮かべることができれば、その分だけ幸せを感じられると思います。それでは良いクリスマスと新年をお迎え下さい。また3学期の始業式に元気にお会いしましょう。