学校法人 南山学園 南山高等学校・中学校女子部Nanzan Girls’ Junior & Senior High School

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朝のこころ(2021年11月8日)

2021.11.09

9月13日、赤尾神父様による「朝のこころ」です。

2020年11月8日 朝のこころ「文化祭を終えて~豊かな多様性を活かして~」

先週は前夜祭、文化祭が行われました。本来の日程からは延期されましたが、準備期間もほとんどない中、おそらく当初予定していた内容も変更・縮小しながら、それでもクラスや部活、有志の発表やダンスを、皆さんはよく準備してやり遂げました。一人ひとりの素晴らしい努力と協力のおかげだと思います。本当にお疲れ様でした。

さて、文化祭と言えば、世界には様々な文化があります。文化祭の発表も多種多様なものがありましたが、世界中の国々も、それぞれ異なる文化を持っています。私が所属している神言会という修道会には、いろいろな国出身の司祭や修道士がいて、私自身もこれまで30カ国以上の様々な国出身の人たちと共同生活をしてきて、興味深いことがたくさんありました。

文化が大きく違うと、誤解が生じたり、衝突することがあります。例えば、多くの国々では、首を縦に振ってうなずくと「Yes」、横に振ると「No」を意味しますが、インドでは顔を正面に向けたまま首を左右に交互に傾けるといううなずき方をし、しかも単純に「Yes」とも「No」とも言い切れない曖昧なニュアンスがあるそうです。言葉が通じなくても身振り手振りのジェスチャーなら気持ちが伝わるかと言えば、必ずしもそうではありません。

こうしたお互いの理解を難しくする違いはたくさんありますが、私自身の経験から感じるのは、いろんな人とうまくやっていくために本当に大切なのは人間性だということです。同じ文化的背景を持つ日本人同士であっても誰とでもうまくつきあえるのではないです。生活習慣や文化、価値観、国民性の違いが大きくて、自分の考えとかけ離れていることが根本的な問題なのではなく、その違いをどういう形で受け止められるか、異なる考えを持つ相手を自分と同じくらい大切な存在として認められるかどうかが重要です。自分とは合わないからと言って頭から相手を否定し自分の意見を強要するのではなく、かといって自分の考えがあるのにそれを押し殺すのでもない、自分のことも相手のことも尊重しながら、お互いを大切にすることで多様性の中に一致が生まれます。すべてを一つの色に塗りつぶすことが一致ではありません。ただ、多数決を取るとか、二つの意見のちょうど真ん中を取ることが実際の問題の解決策なのではないのが難しいところです。

 前夜祭・文化祭の準備でも、皆さんの間で意見がぶつかり合うことがあったかもしれません。自分の思うとおりにいかなくて不満があったかもしれません。それ自体はみんなが一生懸命だからこそ起こりうることで、決して悪いことではありません。おそらく日々皆さん自身が体験して乗り越えていることでしょうが、これからもいろんな考えを持った仲間たちと学校生活を送っていく上で、その多様性の豊かさを楽しんでほしいと思います。

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