学校法人 南山学園 南山高等学校・中学校女子部Nanzan Girls’ Junior & Senior High School

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朝のこころ(2021年6月21日)

2021.06.28News

6月21日、赤尾神父様による「朝のこころ」です。

2020年6月21日 朝のこころ「自分の手で創りだす未来」

 毎朝学校に来る途中に建築中のお宅が数軒あり、朝早くから職人さんたちが働いている様子を見ながら「自分も頑張ろう」と思うのですが、その内の一軒を囲んでいる保護シートに「make a house, make a future」という言葉が書かれていました。この表現が英語として正しいかどうかはわかりませんが、建設会社が仕事に対して抱いている自負がよく表れていると思います。自分たちは単に人が入る入れ物としての建物だけをつくっているんじゃない、その家に住む人が幸せな生活を送る未来をつくっているんだ、ということでしょうか。

 通信販売会社ジャパネットたかたの創業者である高田明さんは、甲高い声と訛りが強い言葉でお茶の間に語りかける姿がよく知られていましたが、彼がテレビショッピングに出演する際にいつも心がけていたことがあるそうです。それは、商品の機能や性能の紹介にこだわるのではなく、その商品の本当の魅力、それがあることによって購入者の生活がどのように変わるか、どんな幸せが得られるかというビジョンを伝えるということでした。たとえばビデオカメラを紹介するときには、録画可能時間や画像の鮮明さを強調するのではなく、ジャパネットの社員自身が自分の子供を頑張ってかわいく撮影した実際の動画を流しました。双子の赤ちゃんにミルクを飲ませていたり、女の子が元気に外を駆け回っているという幸せな家庭が、映像としてビデオに収められるさまを見せたそうです。また、大画面のテレビを紹介するときには、やはりテレビの価格や性能ではなく、大きなテレビがあれば素敵なリビングになる、自分の部屋にこもってゲームをしていた子供たちもリビングに出てきて大迫力のスポーツや映画を見たりするようになるというように、生活がいかに豊かになるかを伝えました。こうした感動を伝える商品紹介は広く受け入れられ、高田さんは田舎の町のカメラ屋を一代で年商1500億円以上の大企業に育てました。

 早いもので、中間考査が終わったと思ったら、二週間ほどでもう期末考査がやってきます。皆さんの成績は数字で表されますが、その数字が大きくなっていくだけでは意味がありません。たくさんのことを深く学んだ上で、どんな人になりたいのか、どんな将来を実現させたいのかという、思いを大切にしてほしいと思います。

また、文化祭や体育祭という行事の準備も本格的に始まっています。いろんなことを決める際に様々な意見の違いも出てくると思いますが、そこで一番大切にしたいビジョンは何でしょうか。目先の話し合いで自分の意見ができるだけ多く採用されることなのか、それともみんなで学校祭をつくりあげて一緒に楽しめるものにすることなのか。

数字の値や代わりがある手段に気を取られず、本当に実現したい大切な目的をしっかりと見据えていきましょう。