学校法人 南山学園 南山高等学校・中学校女子部Nanzan Girls’ Junior & Senior High School

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朝のこころ(2020年9月29日)

2020.10.05

9月15日、赤尾神父様による「朝のこころ」です。

2020年9月29日 朝のこころ「輝くために、大切なこと」

私の母校の高校では、3学期のスポーツ大会は剣道と柔道の武道大会として行われていました。高校1年生の時、私は柔道の個人戦60kg以下の部で、学年内のトーナメントに出場しました。経験者の柔道部員は審判になっており、出場する生徒は高校生になって初めて柔道を習った素人ばかりだったので、お互いに技がきれいに決まることはほとんどなく、グダグダな試合があちこちで繰り広げられていました。私もご多分に漏れず、1回戦、2回戦はなんとなく相手ともつれて倒れた後の、どさくさにまぎれた寝技で勝ち上がりました。準決勝も、突進してきた相手をかわしたところ、向こうが先に倒れて私が優勢勝ちし、なぜか決勝に進出してしまいました。

準決勝までは体育館全体で高1・高2の団体戦・個人戦が同時に何試合も行われていましたが、それぞれのトーナメントの決勝は一試合ずつ体育館の中央で行われることになっていました。そこで初めて、自分がこれからその場にいる生徒300人の視線を一斉に浴びながら試合をするんだ、ということに気づき、頭が真っ白になりました。万年帰宅部で体格も運動神経もよくない私が決勝の舞台に立っていることにクラスメートたちは驚いていたでしょうが、私自身が一番びっくりしていました。同じ階級とはいえ、野球部でがっちりした体格の相手を目の前にして、どうしてこんな場所に自分なんかが立っているんだろうかと怖じ気づき、逃げ出したくなりました。そんな状態で勝負になるはずもありません。その場に立ち尽くす私は、技をかけられると抗うこともなく投げられ、きれいに受け身を取って一本負けを食らいました。

その時は、決勝まで行けただけでも十分だと思っていましたし、クラスメートもみんなねぎらってくれましたが、モヤモヤした気持ちが消えることはありませんでした。大げさでなく、それから10年以上も私はこの気持ちを忘れられずに引きずり続け、ことあるごとに思い出しては、どうしてあの時本気で立ち向かわなかったのかと後悔しました。正直、柔道にまったく思い入れもなく、勝っても負けても何も変わらない大した意味のない試合でしたし、実力を出し切ってもおそらく負けていたでしょう。それでも、始まる前から気持ちの上で逃げ出してしまい、何かをしようとさえせずただ諦めたということ自体が、私自身を苦しめ続けました。失敗すること、負けることではなく、挑戦しなかったこと、逃げたこと、手を抜いたことの方がつらいのだと身をもって知りました。

来週には中間考査も控えていますが、中学・高校の学校生活には、自分のあり方を問われる場面がたくさんあります。そのチャンスを大切にし、どうぞ自分が置かれたその場その場で精一杯に輝いてください。

FB2017総体予選① 県大会出場をかけて 女子部にて (2).jpg