学校法人 南山学園 南山高等学校・中学校女子部Nanzan Girls’ Junior & Senior High School

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朝のこころ(2020年9月15日)

2020.09.16

9月15日、赤尾神父様による「朝のこころ」です。

2020年9月15日 朝のこころ 「人間らしく歩くということ」

 皆さんは「人類の進化」に関して、サルからヒトへと進化していく過程を表した図や絵を目にしたことがあるだろうと思います。猿人から原人、旧人、新人、そして現生人類のそれぞれの横向きのシルエットが左から右に並べられて、順に進化していく様子が描かれたものです。最初の猿人は背中を丸めてかがんだ状態で手も地面についていたのが、右に行くにしたがってだんだんと背筋が伸び、頭の位置が上がって骨格や姿勢が現生人類に近づいていきます。私はあの絵を見ると、数十万年、数百万年前の彼らがどんなことを感じながら毎日を過ごしていたのか、世界をどのように見ていたのか、それは私たちの見方とは違うものだったのかが気になったり、自分の数十年の人生と比べてとんでもなく長い人類の歴史というものに思いをはせようとしても捉えきれずに不思議な気持ちになったりします。

さて、ギリシャ語で「人間」のことを「anthropos」と言いますが、この言葉は、「上へ」を意味する「ana」と、「顔」を意味する「prosopon」という二つの語からできていると言われます。まさに人間(anthropos)は、顔(prosopon)を上へ上へと(ana)向けるようにして進化してきたのだと納得させてくれる言葉です。人類の進化の過程をたどるほど頭の位置が上にくる姿勢になるのは、偶然の一致ではないのでしょう。

 私たちが生きている間に、更に人類が進化してもっと顔が上へ上がるというような変化が起こることはないでしょうし、種としてのヒトの進化は個人の努力でどうにかなる問題ではありませんが、自分自身の進化、成長については私たち自身の生き方にかかっています。私たちの生きる姿勢によって、いかようにも変えることができます。ふと気がつくと顔が下を向いていることもあるでしょうが、ずっとうつむいたままでは背筋が伸びません。人間らしく顔を上げて前を向き、上を向いて歩くことを忘れないように心がけましょう。