朝のこころ・高校入学式にあたって(2020年4月6日)
2020.04.07News
ダシオン校長による、生徒たちに向けての講話です。今回は、高校入学式でのお話です。
【2020年4月6日 南山女子部高校入学式・始業式にあたって】
皆さん、おはようございます。そして高校ご入学、おめでとうございます。
皆さん一人一人の体調はいかがでしょうか。
生活範囲の制限が求められているこの厳しい状況の中で、放送の形でとはいえ、皆さんの2020年度始業式および高校入学式を執り行えることは、一つ、安心しているところです。
ですが、今後の授業再開の目途がなかなかつかないことで、皆さんに多大な心配をおかけしていることをお詫びいたします。一日も早く、この状況が改善されることを祈ることしかできません。
高校入学式にあたり、少しお話をいたします。
1月に、一人の知人から、江戸時代の国学者である本居宣長の小さな銅像を頂きました。本居宣長といえば、「松阪の一夜」という言葉を思い出します。
これは、新上屋という宿屋での、本居宣長と、江戸時代の万葉集研究者である賀茂真淵との生涯一度だけの歴史的"出会い"が実現された話です。
この出会いで、70歳近くだった賀茂真淵が、30歳あまりの本居宣長の才能・学識の素晴らしさを見抜いて、古事記の研究を勧めたのです。賀茂真淵の言葉が、宣長を「古事記伝」の完成へと向かわせた、と言われています。
この話は、人と人との出会いは何のためにあるのかを教えてくれています。すばらしい出会いというものは、時間の長さなのではありません。一瞬、一夜だけでも、そこでお互いが認め合い、良い言葉を交わし、良いアドバイスを与え合うことができれば、それぞれの生涯に大きな意味をもつ生きるための宝を蓄えることになります。
みなさんは、中学校を3年間過ごし、お互いの友情の絆を育んできました。
その絆を、これからの高校生活の3年間においてより高みを目指して育て、お互いが持っている力を認め合い、さまざまな勉強や活動を通して、お互いを高め合いながら、それぞれの夢・目標を達成できることを祈ります。
厳しい時世にあり、いろいろな混乱が起きていますが、まずみなさんには、一人ひとりの健康管理をしっかりと行うことをお願いいたします。
授業再開まで、教科書や課題などを使って、自宅でのお勉強に励んでいくように願いいたします。
みなさんとご家族みなさんの健康、そしてみなさんが高校でさらなる成長を遂げることをお祈りして、訓話といたします。
ヨセフ・ブルーノ・ダシオン