朝のこころ(2018年11月12日)
2018.11.12News
今週は、ピーター指導司祭による「朝のこころ」です。
2018年11月12日 朝のこころ
「生きる幸せは誰かの役に立つこと」
おはようございます。どうぞ挨拶して、ご着席ください。
昨日、テレビのニュースを聞いた人も多いかと思いますが、「少年の主張全国大会」についてのニュースがありました。中学生が身近な体験を通じて意見を述べるこの大会が、今年で40回目を迎え、昨日東京で開かれました。会場では、応募した52万人余りの中から選ばれた12人の中学生が、みずからの思いや意見を発表しました。その12人のうち、おととしの熊本地震を経験した中学3年生の女子生徒の発表がとても印象的でした。彼女は、ボランティアの吹奏楽の演奏によって勇気づけられた経験から、「生きる幸せは誰かの役に立つことだと気付いた」と発表しました。「生きる幸せは誰かの役に立つことだ」と彼女は気づいたのです。
私は、二つのことに注目しています。まず、「生きる幸せは誰かの役に立つことだ」ということです。とても印象的で大変素晴らしい発表だと思います。皆さんもそうだと思いますが、これは、はじめて聞いたことばではありません。これまでも何回かどこかで同じようなことばを聞いたことがあります。アレフレッド・アドラーさんという有名な心理学者も、学術的な研究結果としてそういっています。「人の役に立つことが自分の幸せを形成している」と明確に言っているのです。しかし、熊本出身の女子生徒が発表したのは、教科書で習ったそのような学者の研究結果ではなく、あるいはこれまで聞いたことを言っているのではありません。彼女は、自分の体験から、吹奏楽の演奏というボランティア活動を通して、地震で苦しんでいる多くの人を励まし、力づけたという体験から発表したことがとても素晴らしいと思います。
もう一つは、「生きる幸せは誰かの役に立つこと」ということを彼女は気づいたのです。気づいたことが素晴らしい。これまで気づかなかったことが、自分の体験を通して気づいたのです。習ったこと、これまで聞いたことを生かすことによって気づき、大きく成長したということです。習ったことを深く理解し、それを単なる知識として頭で詰め込むのではなく、それを生かして、しかも多くの人のために貢献する、これが正に校訓の広い教養ということです。その広い教養をもって、彼女は幸せを感じたのです。
「生きる幸せは誰かの役に立つことだと気付いた」、彼女が発表した主張を改めて振り返っていただきたいと思います。誰かの役に立つこと、これを意識して生きているのでしょうか。勉強で忙しい毎日を過ごしている中でも、周囲に心を配り、自分ができることを常に考えて行動すること、広い教養を生かしている南山生を心から期待しています。