学校法人 南山学園 南山高等学校・中学校女子部Nanzan Girls’ Junior & Senior High School

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朝のこころ(2018年9月10日)

2018.09.13News

今週は、ピーター指導司祭による「朝のこころ」です。

2018年9月10日(月)朝のこころ  

盲ろう者の森敦史さん:人に信頼と感謝

 おはようございます。どうぞ挨拶して、ご着席ください。

 夏休みに、新幹線に乗る機会があって、その席に誰かが忘れたパンフレットのようなものが置いてあって、大変興味深いことが書いてあるのを見つけました。もしかしたら皆さんも知っている、あるいは聞いたことあるという人もいるかもしれませんが、目も見えないし、耳も聞こえない、盲ろう者の大学院生・森敦史さんという方のことについて書いてあるのです。彼は岐阜出身で、生まれた時から盲ろうになっていますが、学校に通い、大学院まで研究をされているそうです。授業には通訳介助者がつき、触手話などでコミュニケーションをしていると言います。

 彼は目と耳両方にハンディがあっても、勉強や周囲とのコミュニケーションには何の支障もなく、手話や点字、指文字をすらすらと自在に使えるからだそうです。これを身に付けるのに森さんも幼少期から努力してきましたが、その努力は決して一人だけのものではなく、支援のたすきをつないだご両親や恩師たちの存在があったのだそうです。

 そのパンフレットにいくつか彼の言葉が書いてありました。「僕は目が見えないし、耳も聴こえない。だからこそ『相手を信頼すること』が大切です」と。至極当たり前のことですが、人は常に誰かに支えられて生きているもの。それは障害の有無を問いません。家族、友人、学校のクラスメイトなど...。私達は普段から非常に多くの人たちにサポートされながら生きています。そして、そういった関係性を成立させるのは、「相手を信頼する」という気持ち、人間関係が上手くいくためにはやはり「お互いに信頼すること」が大事だということです。

 そして、彼はこういうことも言います。「私は先天性の盲ろう者ですが、周囲の人たちの協力や応援があって生きています。本当に、人に恵まれているんです。厳しい状況でも諦めなかったのは、いろんな人たちがサポートしてくれたからです。大変感謝しています。」 障害の有無を問わず、私達もたくさんの人に支えられていますが、それを常に意識しているのか、感謝しているのでしょうか。ご家族、先生、友達がいること、たくさんの人に恵まれていると思っているのでしょうか、今一度振り返っていただきたいと思います。

 今、現在、ここにいることを意識して、たくさんの人に支えられていること、お互いに信頼することを忘れず、常に感謝する心をもって過ごしてまいりましょう。

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