南山高等学校・中学校女子部

NANZAN VOICE

2026

校長メッセージ

校長先生講話 2026年1月30日

2026年1月30日(金)

世の中には自分でどうにかできることとできないことがあります。

今年のお正月、私は実家に帰省しました。若い時には高速バス二路線とフェリーを乗り継いで、乗り換えの待ち時間も含めると24時間以上かけて帰省することもあったのですが、体力にも時間にも余裕がない最近はできるだけ飛行機で、電車も可能ならミュースカイを使って移動しています。更に飛行機の中で少しでも楽になるように、足元が若干広い非常口横の列、それも窓側か通路側、3人掛けの真ん中ではない席をとるようにしています。ただ、この列の席は搭乗日直前にならないと一般に開放されないので、座席変更が可能になる時間帯に急いで航空会社のウェブサイトにアクセスする必要があります。多少手間ではありますが、この涙ぐましい努力のおかげで快適な空の旅を満喫できています。

今回も往復でこの席を確保することができました。しかし、帰りの便で想定外のことが起こりました。私が腰かけようとした通路側の席の奥に既に座っていたのは、女子部の生徒とその保護者の方でした。

驚いただけで、それが嫌だったというわけでは決してありません。むしろすごい偶然だなあと、少しだけうれしくもなりました。そのことはしっかりと強調しておきたいですが、しかし実際に緊張したのも確かでした。私は声をかけられ、あわてて挨拶を返して席に着きましたが、前方に足は伸ばしても横にはみださないように気を遣い、体をひじ掛けの内側にすっぽりと納め、持っていた文庫本を格好つけて開きました。目で文字を追い始めたものの、最初はなかなか本の内容が頭に入らず、何度もページを行ったり来たりしなければならないほどでした。

その内リラックスすることができて読書もはかどりましたが、到着して「失礼します」と言って降りるまでは、失礼なことをしてしまわないようにと気をつけていました。

少しだけ大げさにお話したかもしれませんが、飛行機の座席一つにしても、誰が隣に座るかは自分で決められることであありません。しかし自分が座る席の位置は、早めに行動することである程度選択肢を広げることができます。

私たちの周りには自然現象や既に起こってしまった過去のことなど、自分でコントロールできない、変えられないことがたくさんあります。けれども、そんな状況でも何を考え、どのような態度でどう対応するかは自分で決めることができます。次に同じ失敗をしないように経験から学ぶことができます。どうにもならないことはどうにもなりません。変えられないことに腹を立てたり、諦めて投げ出したりしてしまうのではなく、少なくとも変えられる部分に働きかける努力と工夫を大切にしましょう。