学校法人 南山学園 南山高等学校・中学校女子部Nanzan Girls’ Junior & Senior High School

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朝のこころ(2022年1月17日)

2022.01.17News

1月17日、赤尾神父様による「朝のこころ」です。

2022年1月17日 朝のこころ「見えない未来へ進んでいくみなさんへ」

 私たちが未来へ向かっているのは、後ろ向きで歩いているようなものだ、と言われます。私たちに見えているのは自分が既に歩んできた道だけで、これから進んでいく先の未来のことは見えず、何が起こるかもわからないからです。

 私が幼い頃、まだ小学校に上がる前のことです。ここ最近のような寒い日に、父と魚釣りにいきました。その日は堤防の上からの釣りで、冷たい強風が吹きすさぶ中、体が小さく軽かったので飛ばされないように立っているのにも苦労していましたが、そこそこ賢かった私は良い方法を思いつきました。まず腰を落として重心を低くし、更にそのままの姿勢で後ろ向きに歩くことで背中側にかかった体重を使って風に負けずに進むことができました。

 しかし残念なことに、私は十分には賢い子どもではありませんでした。吹いてくる海風に向かって気をよくして力強く後ろ向きに歩き続けた私は、そのまま堤防の端から、数メートル下の暗く冷たい冬の海へ真っ逆さまに落ちていきました。手すりやガードレールなどない堤防の上をまっすぐ進み続ければ、いつか海に落ちてしまうのは当たり前です。あわてた周りの人たちから知らされた父は、あわれな息子を助けるために海に飛び込んでくれました。ずぶ濡れのまま帰宅して入ったお風呂の熱さは、今でも思い出されるような気がします。

 先が見えない未来に向かって歩んでいくのは、 楽しみで期待感にわくわくすると同時に、何が起こるか分からず不安や心配を感じることでもあります。もうすぐ卒業し、6 年間通い慣れた母校を巣立って新たな環境に飛び出していく高校三年生にとっては、特にそうかもしれません。実際、自分の思い通りにならず、足もとにある石ころさえも見えずにつまずき、転んでしまうこともあるかもしれませんが、それでも大丈夫です。誰でも転ぶことはあります。失敗することは恥ずかしいことではありません。その時にはもう一度起き上がればいいだけです。自分の力だけで立ち上がるのが難しければ、助けてもらえばいいのです。バカな子どもが自業自得で海に落ちてしまうほどのことが起きても助けてもらえます。必要なときに助けを求めるのをためらわないでください。あなたにも助けてくれる人が必ずいます。

ご家族をはじめ、学校の先生方も、周りの人たちも、皆さんを見守ってくれています。どうぞ勇気を持って自分の歩みを続けて下さい。皆さんの未来の上に、豊かな祝福があるように祈っています。

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