学校法人 南山学園 南山高等学校・中学校女子部Nanzan Girls’ Junior & Senior High School

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朝のこころ(2021年2月2日)

2021.02.04News

2021年2月2日、赤尾神父様による「朝のこころ」です。

【2021年2月2日 朝のこころ】「選択と決断の毎日」

大海原を大きな豪華客船が航海していました。この船には世界各地から来た様々な出身の人々が乗り込んでいました。あるとき、この船が暗礁に乗り上げて沈みそうになりました。ところが乗客全員を乗せるには救命ボートの数が足りず、誰かがボートを諦めて海に飛び込まなければなりません。しかし、みんな躊躇してなかなか飛び込もうとはしませんでした。そこで子供や女性、お年寄りを優先してボートに乗せるために、船長が各国の若い男性たちに声をかけ、身一つで海に飛び込むよう促しました。

船長が一人目のイギリス人に対して「あなたは紳士ですよね?ジェントルマンですよね?」と言うと、彼は英国紳士としてのプライドを守るためにその一言で飛び込んでしまいました。次に二人目のドイツ人に対して「男性は救命ボートには乗れない。飛び込むのがルールです」と言うと、決まりごとに生真面目に従うドイツ人は、納得して海に飛び込みました。三人目のアメリカ人に「もし他の人を救うために海に飛び込むなら、あなたこそ勇敢なヒーローだ!」と言うと、彼も喜び勇んで飛び出していきました。そして最後に残っていた日本人に対して「周りを見てください。他の人たちはみんなもうとっくに飛び込んでいますよ」と言うと、流されやすく周りの目を気にする彼もあわてて海に飛び込みました。

これはステレオタイプや偏見に基づいた、少し意地が悪い冗談ですけれども、重要なことほど決断して実行に移す勇気が私たちにはなかなかない、という現実を表している話です。後押ししてもらったり、おだてられたり、脅かされたり、助けてもらったりして、自発的な意思だけではなく見栄やプライドや周りの人の圧力から行動に移ることがある、という私たちの弱さがよく表現されています。

幸いなことに、私たちが人生の中でしなければならない決断は、この話のようにたった一回限りの命に関わるものではなく、何度でもチャンスが与えられています。たとえ自分の弱さに負けて失敗したり、楽な方に流されたり、間違った選択をしてしまったりしても、いつでも何度でもやり直すことができます。とは言え、意識して正しい決断をしようと心がけなければ、いつまでもなあなあで同じ過ちを繰り返してしまいます。あなたは毎日の決断をどのように下しているでしょうか。