学校法人 南山学園 南山高等学校・中学校女子部Nanzan Girls’ Junior & Senior High School

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朝のこころ(2021年1月12日)

2021.01.15News

新年あけましておめでとうございます。

2021年1月12日、赤尾神父様による「朝のこころ」です。

【2021年1月12日 朝のこころ】「真の自己を求めて ~『十牛図』が語ること」

 新しい一年が始まりました。今年は丑年です。聖書の中で最もポピュラーな動物は羊ですが、牛もよく登場します。また、ヒンドゥー教では牛は崇拝の対象となっています。

  仏教では、禅宗の「十牛図」と言われるものが有名です。十牛図は中国の宋の時代に書かれた禅の入門書で、悟りに至る禅の修行が牛を探し求めて様々な行動をする十の段階になぞらえられ、真の自分自身が牛にたとえられています。簡単にこの段階を説明すると、ある人が牛を探し始め、牛の足跡を見て追いかけ、ついに牛の姿を見つけ、この牛に近づいて縄をかけてつかまえ、暴れる牛を飼い慣らしておとなしくさせ、牛の背に乗り身を任せて家に帰り、家に帰り着いたら牛のことなど忘れてしまったかのように執着せずのんびりと過ごし、自分自身や牛をつかまえたことさえ忘れて、何事にもとらわれない姿で他の人と出会い、その出会った人が自分の牛を探し求める手助けをする、という流れです。

 これが真の自己、本来の自分を求める人のあり方を示しています。牛は普段のんびりしたように見えながら、いったん暴れ出すと手がつけられない、私たちの心も同じです。また、私たちが追い求める理想に至るための方法や、こうなりたいという目標さえ自分でもわからないということがよくあります。自分のこだわりにとらわれすぎると身動きが取れなくなることもあります。一方で、特別に意識する必要もないほど身につくと、ありのままの自分で人と関わりながら周りに良い影響を与えることにもなります。

 新年が始まり、皆さんも今年の抱負や目標を立てたり、いろんな希望を持ったりしているでしょう。私たちそれぞれが追い求めたい、成し遂げたい「牛」は、なかなか見つからなかったり、とんでもない暴れ牛で手なずけるのが難しかったりするかもしれません。けれども、その牛は簡単につかまえられるものではなく、いくつもの段階を乗り越える必要があるということを心に留めたいと思います。なかなかうまくいかない、時間がかかるのは当然のことです。あせらずくさらず、すぐに諦めたりせず、理想の「牛」の実現のために猪突猛進とはいかなくても、牛歩のようであっても一歩一歩前に進んでいきましょう。