学校法人 南山学園 南山高等学校・中学校女子部Nanzan Girls’ Junior & Senior High School

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校長よりメッセージ 学校再開にあたって

2020.06.02生徒・保護者の方へ

本校では、毎週月曜朝礼時に「朝のこころ」という、校長・指導司祭による生徒へのメッセージを放送しています。

今回は、学校再開にあたって、終礼時に校長から生徒たちへ送られたメッセージを掲載します。

2020年6月1・2日「学校再開にあたって」

生徒のみなさん、こんにちは。校長のヨセフ・ブルーノ・ダシオンです。

2020年の学年度は、新型コロナウイルスの関係で、二か月もの休校期間をへて、まだ完全な形ではありませんが、待ちに待った本日の第一歩を生徒のみなさんとご一緒に踏み出せたことは、大変嬉しく思っております。みなさん、お帰りなさい。この日を迎えさせてくださいました神様に感謝致します。

久しぶりの再会は、生徒のみなさんにとっても、先生方にとっても大きな喜びです。この喜びを力にして、これからの勉学に励むことを願っています。

学校再開にあたり、私たちがこれからの一日一日をどのような想いを持って過ごしていくのかについて、少しお話します。

英語の勉強でよくご存じのことだと思いますが、英語の「to See(〇〇を見る)」という言葉は、場合によって、「なるほど」「そうなんだ」のほかに「分かる・理解する」の意味で使うこともできます。たとえば、人の話や説明などを聞いて、「I understand」の代わりに「Yes, I see」とも言えます。

また、日本語でも「来る・来ます」を敬語で言うときには「お見えになる」という言葉を使うこともあります。「お客様が来ました」と言わずに、「お客様がお見えになりました」と言ったほうが敬語表現をしっかりと勉強された人の証です。その「人を見る」「人がお見えになった」という言葉は、目に映っているその姿を見ると同時に、その人の心の動きや言葉にならないその人の心の声を捉え、それに理解と相応しい対応を示すことにつながります。

日本では、お客様や親戚などを迎えた時、お茶と和菓子を出してもてなすのは、正に、お見えになった方の心にある喜びや悲しみが見えたからではないでしょうか。喜びをもってお見えになったのならば、その喜びを祝うお茶と和菓子となり、心に悲しみや心配ごとを積んでお見えになったのならば、そのお茶と和菓子は労りと慰めとなります。

新型コロナウイルスの脅威は、まだしばらく続くでしょう。特に、科学的・医学的解決方法がはっきりとされていない今、私たちに求められているのは自粛、社会的距離、マスクをつけることやその他の社会的エチケットを守ることです。いわゆる「新しい生活様式」なのです。

せっかくの再会で、目の前に友達が居るのに、自粛して、マスク越しの限られた会話しかできない

ことは、生徒のみなさんだけではなく、大人も「不自由」「不便」を感じています。

ただ、この「不自由」「不便」の多い新しい生活様式を選択しなければならないのはなんのためなのかを、いちいち説明しなくても、「人間の尊厳」、「人間の命」を尊ぶ南山学園の者としてはよく理解できます。

わたしたちも、周囲の人たちも、みんながこの状況のなかで、一番望んでいるは「いのちを守ること」と「健康でありつづけること」なのです。自分の自粛は自分を守ると同時に友だちや周囲の人たちをも守ることにもなります。

先ほど言ったように、お互いの目の前に友達、仲間を迎え、人が「お見えになった」ことは、心の中にあるお互いの一番望んでいることを理解し、それを守るために協力し合って、お互いが安心、安全に過ごせるための相応しい生活行動を心がけることです。

この心構えを今日の第一歩の日にしっかりと心に刻んで覚えましょう。私たち一人ひとりの努力と自制が、学校でのお勉強の時間、友達とともに過ごす日数を少しずつ増やしていくことにつながります。担任の先生方からもいろいろなことについて話されたと思います。よく心におさめてください。そして、それぞれのクラスの友達と協力し合って、クラスの良い雰囲気を守り、みなさん一人ひとりが安心して授業に参加できることを強く希望しています。

皆さんにも、そして先生方にも、あと一つのことをお願い致します。

この時世だから、いろいろな心配や不安を抱えながら登校されると思います。

しかも二か月間の休校のあとに、もう一度体と心のエンジンをかけても、温まるまでは少し時間がかかると思います。くれぐれも無理に登校しないようにお願い致します。毎日、自分の体調と気持ちを確認し、またご家族とも相談しながら登校を考えるようにお願い致します。

 最後になりますが、

新コロナウイルスに苦しむ世界のために祈ります。

「苦しむ人に必要な医療が施され、

感染の終息に向けて取り組むすべての人、

医療従事者、病者に寄り添う人の健康が守られますように。

不安と混乱に直面しているすべての人に、

支援の手が差し伸べられますように。アーメン」

(『2020年4月3日 日本カトリック司教協議会認可』の祈りより)

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南山高等学校・中学校 校長

                       ヨセフ・ブルーノ・ダシオン