朝のこころ(2020年1月20日)
2020.01.20News
ダシオン校長による朝のこころです。
「生きる態度」
戸田 智弘の書物『まほうの寓話』、幻冬舎、82-85頁には、次の話があります。
二つの大きな町の間にあるオアシスに、一人の老人が座っていました。そこを通りかかった男が老人にたずねました。
「これからとなりの町に行くのですが、どんな町ですか?」
老人はこれに答えずに聞きました。
「今までいた町はどんな町だった?」
男はしかめっ面をして答えました。
「たちの悪い人間が多い、汚い町です」
老人はこたえました。「お前がそう思うなら、となりの町も、たちの悪い人間が多い、汚い町だよ」
しばらくすると、さっきの男と同じ町から、別の男がやってきました。
その男はさっきの男と同じことを老人にたずねました。老人はやはりこたえることなく聞きました。
「今までいた町はどんな町だった?」
男はにこやかに答えました。
「親切な人が多い、きれいな町です」
これを聞いた老人は言いました。
「お前がそう思うなら、となりの町も親切な人が多い、きれいな町だよ」
人間の住んでいる町であれば、良い局面も悪い局面もあるのは当然です。
しかし、話に出てくる二人の男は、同じ町に住んでいたのに、その町とそこに住む人たちに対する感想が、まったく違います。
この話は、二人男のものに対する見方・態度の違いを語っています。
最初の男は、町や人の悪いところにばかり見ていたのですから、その町の良い所があっても、見えなくなります。一方、二番目の男は、町や人びとの善し悪しがあっても、積極的に良い所だけをみたのです。このような人には、人々は関心をもち、親切にしてくれたのです。
わたしたちは、2020年を迎えましたが、どんな気持ちで、どんな考え方を持って、過ごしているのでしょうか。新しい年(とし)を迎えるというのは、わたしたちの心や考え方を新しくすることです。
私たちは、現実の生活の中で、いろいろな人に出会い、またいろいろな出来事を体験しますが、その中にある良いことを発見するのが大事です。悪い局面にばかり目を向ける人は、自分の中に恐怖が芽生え、希望の炎を消すことになります。一方、積極的に、一つでも多く良い局面を探し、発見できれば、心が楽になり、希望をもって、前へ進むことができるのです。今の私たち一人ひとりは、どちらの気持ちや考え方を強く持っているのでしょうか。
ヨセフ・ブルーノ・ダシオン