学校法人 南山学園 南山高等学校・中学校女子部Nanzan Girls’ Junior & Senior High School

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朝のこころ(2018年6月4日)

2018.06.04News

今週は、ピーター指導司祭による「朝のこころ」です。

2018年6月4日(月)朝のこころ  

「誰かのためにわたしにできること」

 おはようございます!どうぞ挨拶して、ご着席ください。

 今年度も、中2の宿泊行事「静修会」が先月行われました。中2以上の皆さんは、まだ覚えているでしょうか。静修会における3つの宗教講話のうちのひとつに、「誰かのためにわたしにできること」というテーマがありました。「誰かのためにわたしにできること」とはどういうことなのか。普段の生活の中でどれだけそのことを考え、生かしているのでしょうか。

 ある2人のガン患者のお話を分かち合いたいと思います。

 ある病室に2人の末期ガンの患者が入院していました。一人は窓側のベッド、もう一人はドア側のベッドに横たわっています。2人とも寝たきりの状態でしたが、窓際のベッドの男はドア側のベッドの男に窓の外の様子を毎日毎日話してあげていました。「今日は雲一つない青空だ。私達の気持ちも元気になる」、「桜の花がさいたよ。とてもきれい。元気づけられるね」、「木の葉っぱが緑いっぱい。生き生きとする。」というポジティプな、明るい話ばかりを伝えたのです。そんな明るい会話のおかげで死を間近に控えながらも2人は穏やかに毎日を過ごしていたのです。

 ある晩、窓側のベッドの男の様態が急変しました。自分でナースコールも出来ないようです。ドア側の男も、その様態を気付きましたが、何も助けることができず、結局窓側のベッドの男はそのまま亡くなってしまいました。

 窓側の男が亡くなってから、ドア側の男は窓側のベッドへ移動することになりました。窓側の男が生前話してくれていた、窓の外のきれいな景色を楽しみにして、窓の外に目をやりました。しかし、彼が窓の外に見たのは、なんと打ちっ放しのコンクリートの壁だけだったのです。そのとき彼は気づきました。ドア側にいる自分を励ますために、力づけるために窓側の男は明るい話ばかりを話してくれたていたのです。そして自分自身が苦しんでいる中でも人を励まし、力づけようとする、心優しい人である彼に対して、感謝の思いが心にあふれました。

 このお話を聞いて、「誰かのためにわたしにできること」を改めて思い出していただきたいです。また、自分のためにたくさんの人がいろいろと心を尽くしてくれることに感謝を忘れず、周囲に対する心配りをもって成長することを願っています。

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